着物お出掛け会や成人式(二十歳のつどい)

長谷川朋子のキモノこらむ(2023年・冬)

今年も着物で駆け抜けました!

まるで夏から急に真冬になったような気温の下がり様で、セーターを押し入れから引っ張り出しました。近畿のシベリアと言われている三田の冬がいよいよ始まりましたね。いつまで暑いのかとため息をついていたのをもう忘れかけています。

「喜如嘉の芭蕪布物語」を観るお出掛け会

ちょうど寒くなり始めた先月の中頃、万博公園にある大阪日本民芸館へ、秋季特別展の「喜如嘉の芭蕪布物語」を観に行ってきました。今回は、朝ちょっぴりゆっくり目のお出掛け会で、ますはランチでお腹を満たしてから。向かったのは“懐石糊理とよなか桜会(さくらえ)”さんへ。ビルの2階にあるこのお店。入り口が見たこともない畳が三畳分はありそうな重厚な扉にまず驚かされます。
 一歩踏み込めば落ち着いた和のスペース。運ばれてくるお料理は一品一品、とても丁寧に作られているのがわかる品々。例えばお造りも普通ならお醤油とワサビでいただくのが常ですが、お皿の上にはなぜかスポイト!?何だろうと思っていたら中身はワサビのオイル。そしてもう一つ気になるものが。大きさ的には2センチ角くらいで、見た目は黒糖の蒸しパンのようなものがお刺身の模に添えてありました。なんだと思います?なんとこれがお醤油のムースで着物も汚すことなく、しっかリワサビも効かせて、楽しみながら美味しくいただくことができました。八寸も、1メートルはありそうな細長い台に小鉢が菊のお花と共に、美しく乗せられて目の前へすっと登場。毎月演出が変わるそうですよ。12月は菊の代わりに可愛くサンタさんやトナカイさん、そしてキラキラのイルミネーション付きらしいです。来月もとても気になります。美味しくランチを楽しんだ後、いよいよ万博公園へ。移動中のバス内で、お料理に大満足でこのまま帰ってもいいかもと声が上がるくらいでしたが、今日のメインは芭蕪布ですよ〜。気を取り直してレッツゴーです。

ランチの後は万博公園へ

あの太陽の塔のある万博公園。昔、万博のおもちゃを幼い時にもらって喜んでいた記憶があったのですが、よく考えるとこの大阪万博の時は私まだ生まれてなかったようですね。皆さんの当時のなつかしい思い出話をお聞きしながら会場へ向かいました。大阪日本民芸館はもともとのパビリオンを使っていて、飾り棚など当時のものそのまんまだそうです。この日は前田社長が下見の際に頼んでくださっていた学芸員さんがついて、いろいろ説明してくださいました。おかげで詳しくお話が聞けてとても勉強になりました。そもそも芭蕉布を皆さん見たことありますか?芭蕉布とは沖縄で織られている、糸芭蕉から採れる繊維を用いた沖縄にはかかせない織物です。戦時中に蚊の大発生を防ぐためにアメリカ軍によって芭蕉の畑が焼かれてしまって、いったん途絶えてしまった事がありました。そこで戦後、のちに人間国宝になる平良敏子さんが、喜如嘉の仲間たちと芭蕉布を復興させて今があります。残念ながら昨年お亡くなりになられました。亡くなる前日まで糸を績んでいたそうです。職人冥利につきる方ですね。平良敏子さんが復興させるために、試しに織ってみたという芭蕉布の帯も3点展示されていました。とても試しに織ってみたというレベルではないくらい絣模様が美しく。織り手さんとしてもかなりのつわものだったようですね。蝉の羽と形容される芭蕉布。年々生産反数は減っていて手に入りづらくなってきています。沖縄で見た芭蕉布の畑が、いつまでも輝きますように。祈るばかりです。

着物の楽しさを伝えるお出掛け会

さて着物を着る機会がないというお声が多いので、毎月お出掛け会を企画していますが、この間はいつもは裏方の加工部さんたちが有馬にお出掛けしてきたようです。ロ―ズグラスギャラリーでベネチアングラスの帯留を作り、そのあとエクシブ有馬離宮で中華を楽しんできたんですって。日頃頑張っている加工部さんたちへと、前田社長も粋なことをしますね。新しく入ったスタッフもお出掛け会の楽しさを感じてもらえたのではないでしようか。加工部さんのお仕事はお客様の着物を預かる大変なお仕事です。いつもは動きやすいように洋服ですが、着付もできる方たちなので、この日は着物で出勤して来られていたので、たまたまお会いしたお客様には随分褒められていました。素敵な着姿でした。

成人式(二十歳のつどい)の思い出づくりのお手伝い

素敵な着姿といえば振袖の前撮り撮影会もありました。振袖っていいですね。私たちまですっかり幸せをわけていただいています。様々なご家庭がありますので、毎回いろんなエピソードがあります。振袖のお嬢さんたちは髪型やメークもこんなのをして欲しいというのがあるので切り抜さや画像を持ってこられます。そしてネイルもみなさんバッチリされ、指先にまで余念がありません。ある方は妹さんが振袖を着るためにプレゼントしてくれたネイルをされて、またそれが着物にぴったりでというお客様がなんと2人もいらっしゃいました。なんだかじ〜んと感動します。次は妹さんの番ですね。私たちもまた着付けで喜んで頂こうと気合が入ります。

一度きりの成人式(二十歳のつどい)。いい思い出作りのお手伝いができたらいいなと心底思っています。振袖相談会、次回は1月予定です。どうしようか迷っている方はお気軽にお越しくださいませ。さあ今年もいろんなことをして駆け抜けてきました。どうぞ来年もご愛顧賜りますよう、よろしくお願いします。